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売上や従業員の問題に悩む経営者が今、取り組むべきことは「MVV」に隠されている。

#経営

こんにちは。株式会社World Scene代表のあらたけです。

私たちは福岡市を拠点に、ブランディング、マーケティング、そしてクリエイティブ制作を通じて、企業の価値を最大化するお手伝いをしています。

今回は、企業の「存在意義」を明確にするために欠かせないMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)についてお話しします。これまで九州を中心に中小企業のブランディングやリブランディングをお手伝いしてきましたが、実に約7割が2代目や3代目といった跡継ぎ社長の方々です。

ふと、なぜ跡継ぎ社長にとってMVVが特に重要なのかを考え込む時期もありましたが一つの答えがあります。

その背景には、「先代が築いてきた価値観をどう受け継ぎ、自分の時代にどうアップデートするか」という難題があるからです。事業の継続と発展を担う跡継ぎ世代にとって、MVVは企業の羅針盤であり、社員と地域を巻き込んで未来を描くための強力な武器になる反面、曖昧なままでは「社員の足並みが揃わない」「ブランドの独自性が失われる」といったリスクも伴います。何よりもMVVの策定は答えがないからこそ、社内だけで進めるのは難しいものです。

・MVVをつくりたい
・MVVをつくりなおしたい

ざっくりこんなお悩みがある方には最後までお読みいただければ幸いです。

本記事では、MVVをどう言語化し、社内外で浸透させるかについて、具体的な手法や成功事例を交えながら解説していきます。ぜひ参考にしてください。

MVVとは何か?売上と社員問題を解決する武器になる理由

「売上が伸びない」「社員が辞める」。地方の中小企業の経営者の多くが抱えるこの二大課題。

私たちがこれまで支援してきた企業の中で、「困っていない経営者」には一度も会ったことがありません。もちろん、困っていることを簡単に教えるわけありません。だから正確には、「何にも困っていない経営者」には一度も会ったことがありません。

かくいう私なんかは経営には向いていないとすら思っています。もっと言えば、世の中の経営コンサルティング会社だって困っています。そういうものですよね。

経営の課題はどんな規模の企業にも存在しますが、特に地方の中小企業では、「いま目の前の問題をどう解決するか」という日々の戦いが優先されがちです。

そのため、「ブランディング」や「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」と聞くと、「そんなことに時間もお金もかけていられない」と感じる方も多いかもしれません。しかし、ここでお伝えしたいのは、その課題を根本から解決する手段として、実はMVVが非常に効果的であるということです。

改めて、MVVについて整理します。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは、企業の方向性を示す羅針盤のようなものです。

  • Mission(使命): 私たちは何のために存在するのか?
  • Vision(未来像): 私たちはどこに向かっていくのか?
  • Value(価値観): 私たちは何を大切にして進んでいくのか?

たとえば、ある地方の製造業の企業では、社長が先代から事業を引き継いだあと、「売上を伸ばすこと」に集中していました。しかし、目先の売上を追う中で、社員の離職が続き、残った社員の士気も下がる一方。仕事には困っていないが、仲間には困っているというケースです。危機感を覚えた社長は、自社のMVVをゼロから見直しました。

その結果、「ただ製品を作るだけでなく、地域に貢献し、社員が誇れる企業にする」という使命を掲げ、社員の意見を取り入れながらビジョンと価値観を明確にしました。それを共有したことで、社員の意識が変わり、顧客にもその姿勢が伝わっていきました。離職率は半減し、新規顧客も増え、結果的に売上も回復しました

そう、売上とは行動した結果、後天的に「ついてくるもの」です。人の行動を変える力をもっているのがMVVなのです。人間とは、ビジョンに共感してついてくる生き物なのかもしれません。事実、求人が集まる企業というのは現代では給与などの条件より、働きやすい環境より、ビジョンに集まっているといっても過言ではありません。恋愛も仕事も、価値観マッチングがどんどん促進されていることが答えではないでしょうか。

最大の壁は「想いを言語化すること」

MVVを策定するとき、経営者が最も苦労するのは「自分の想いをどう言葉にするか」です。

「自分の中では分かっているつもりだけど、どう伝えればいいかわからない」という経営者の声をよく耳にします。いわば脳内にはあるんです。それが、伝える手段として言葉では伝えられないのです。そして、この壁を乗り越えないまま、「それっぽい言葉」を並べてしまうと、社員にも顧客にも響かないMVVが出来上がってしまいます。

さらに難しいのは、MVVをつくった後にそれをどう浸透させるかです。

たとえばよくあるのは、社長が熱意を持ってMVVを策定しましたが、それを一方的に社員に伝えるだけで終わってしまいました。その結果、社員からは「結局、現場での仕事が変わるわけじゃないし」といった冷めた反応が返ってくるというケース。

逆に、成功した企業は社員を巻き込む形でMVVをつくり上げています。社員の声を反映し、共感を得られる形でMVVを策定することで、社員全員が自らその方向に向かって動き出すようになるのです。

ただし、こればかりは正解はありません。社員全員でつくるというのはむしろリスクも多々あるので弊社では「プロジェクトメンバーの選定」を重要視しています。

基本的にブランディングでも本質は社長である経営者の想いがブレないことが重要です。経営者の脳内にほとんどの答えは詰まっています。しかし、それだけでは物足りないのも事実。だからこそメンバーを絞って行うことが一つの正解だと私は考えています。

まずはこれから!MVVを考える3つの質問

MVVをつくる最初のステップとして、まずは以下の質問に答えてみてください。

1.なぜこの会社を続けているのか?
→ 社会の中で、あなたの会社が存在する意義とは何でしょうか?

2.10年後、どんな会社でありたいか?
→ 単なる目標や売上数字ではなく、どんな未来を実現したいのかを考えてみましょう。

3.社員や顧客に、どんな価値を提供したいか?
→ 自分たちの価値観に基づいて、どんな行動指針を示せるかを考えます。

これを一人で考えるのも良いですが、社員と一緒にディスカッションする場を作ることで、MVVが現場の感覚に合ったものになります。現場の声が反映されることで、自然と社員が自分事として捉え、浸透のスピードが加速します

これはほんの一部ですが、この3つはMVVをつくる上での根幹になってきます。

定例の会議のアイスブレイクでもかまいません。今の会社の幹部やリーダー陣が、これら3つの質問にどう答えるかで企業課題のヒントが必ず見つかるはずです。

MVVが浸透すると、何が変わるのか?

MVVが浸透した企業では、社員一人ひとりがその価値観を日々の行動で体現しています。私は、浸透の正解はこれに尽きると思っています。たとえば、接客や営業の場面で「この会社らしい」と感じられる対応を取るようになる。これこそが成功と言えます。

また、MVVが浸透すると、以下のような効果が現れます。

  • 経営の一貫性が生まれる: 日々の意思決定がスムーズになり、迷いが減る。
  • 社員の幸福度が上がる: 「この会社で働く理由」を実感できる。
  • ブランド力が向上する: 価格ではなく価値観で選ばれる企業になる。

最終的に、社員も顧客も「この会社の一員であること」に誇りを感じ、関係性が強固になります。そして、これらのインナーブランディングと呼べる部分が最も難しいことなのです。

浸透させるための戦略も見据えた上でMVVの策定には取り組みましょう。

自社の羅針盤を整えよう

地方の中小企業が直面する売上や従業員の問題。その根本的な解決策は、目の前の仕事をこなすだけではなく、会社の方向性を明確にし、社員と顧客にしっかり伝えることにあります。

MVVは、その方向性を示す羅針盤です。そして、それをつくり上げ、浸透させることで、「困っている状態」から「未来を描ける状態」に変えることができます

私たちはこれまで、地方の中小企業を中心に「想いを言語化し、社員と顧客に浸透させる」お手伝いをしてきました。一人で悩む必要はありません。まずはお気軽にご相談ください。一緒に、今の課題を打破する一歩を踏み出しませんか。

ブランドの未来について、まずはじっくりお話しませんか?
課題もアイディアもぜひお聞かせください。