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地方・中小企業にこそ必要な戦略的マーケティングと具体的なアクションプラン
こんにちは。株式会社World Scene代表のあらたけです。私たちは福岡市を拠点に、ブランディング、マーケティング、クリエイティブ制作を行っています。この記事では、特に地方の中小企業の皆さまに向けて、効果的なマーケティングの考え方をお伝えします。
まずは、この記事を書こうと思った背景を少しお話しさせてください。
私は広告業界で9年以上、ナイトレジャーから上場企業まで2000社以上に携わってきました。当時の広告代理店の役割はシンプルで、『広告を出稿する』ことが主な仕事でした。そして実際、広告を出せば一定の効果が得られる時代でした。
しかし、現在はどうでしょうか。
国内でどんな広告を出しても、成果が保証されるわけではありません。どんな広告も費用対効果が厳しいのではないでしょうか。そうした中で、『ただ広告を出せば効果が出る』という時代はすでに終わっています。今では、戦略を立てたうえで広告を運用する必要があり、それを総称してマーケティングという言葉が身近になったように感じます。
ところが、SNSや動画など多様な手法が溢れる中で、『マーケティングをやっている風』だけの状態になっている企業も少なくありません。特に地方の中小企業では、リソース不足や適切な戦略の欠如によって、成果に繋がらないケースが多いのが現実です。
- ホームページが価値を生んでいない
- SEOがうまくいかない
- SNSや動画をとりあえずやっている
もう、そんな現状から卒業しましょう。この記事では、中小企業だからこそできる『マーケティングの本質』について、具体的なアクションをお伝えしていきます。
特に地方の中小企業の皆さん、とても多くの悩みを抱えていらっしゃると思います。私も同じです。毎日、どうすれば成果を出せるのか悩み続けています。
「成果が出るまでに時間がかかる」
これこそ、多くの中小企業が直面している共通の課題ではないでしょうか。私自身も、その難しさを痛感してきました。だからこそ、この記事を通して一緒に考え、少しでも解決のヒントを見つけられればと思っています。ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです。
Contents
中小企業が直面している課題
中小企業、特に地方の企業は、現代のマーケティングにおいて多くの場合、リソースや環境の違い、そして時代の変化に適応しきれていないことが原因だと考えています。
地方企業の課題
地方企業がマーケティングに取り組む際、最初に直面するのは都会とのマーケティング環境の違いです。地方は人口密度が低いため、広告やSNSのリーチ(届く範囲)が限られてしまいます。例えば、Instagramで地域名をハッシュタグに入れた投稿をしても、都会の企業に比べてフォロワー数が増えにくいという現実があります。
これはよく考えてみれば至極当然のことですが、外的環境の影響が大きく関係しています。
たとえば私自身、福岡市に住んでいますが、お隣の糸島市に行くだけで人口密度や環境が全く異なることを実感します。
福岡市の企業であっても、同じ福岡県内でも福岡市と糸島市ではターゲット層や市場環境が異なるため、それぞれのエリアに応じた戦略を立てる必要があるのです。
さらに、地方特有の価値観や購買行動も、マーケティングに影響します。都会では「トレンド」や「新しい体験」が消費を動かす一方、地方では「安心感」や「信頼」がより重要視される傾向があります。つまり、地方では流行に乗ったキャンペーンだけでは不十分で、地域の文化やニーズに深く根ざしたアプローチが必要です。
これらの違いを意識せず、都会の企業と同じ手法を模倣してしまうと、期待した効果が得られないばかりか、貴重な予算と時間を無駄にしてしまうリスクがあります。
リソース不足
中小企業の多くは、大企業に比べてマーケティングに投資できるリソースが限られています。
- 予算の限界:広告費や制作費を十分に確保できず、選択肢が限られる。
- 人材不足:マーケティング専任の担当者がいないことが一般的で、兼務しているスタッフが片手間で対応しているケースが多い。
- 時間の制約:経営者やスタッフが日々の業務に追われ、マーケティングに割ける時間が極端に少ない。
例えば、リスティング広告やSNS広告を運用しようとしても、専門知識が不足しているために効果的なキャンペーンが組めない。SEO対策をしようと思っても、成果が出るまでに時間がかかるため、途中でやめてしまう企業ばかり。
このように、リソース不足が「やりたいことは分かっているけどできない」という状況を生み出しています。
間違った優先順位
マーケティングの方向性を見誤ってしまうケース、これは本当にどげんかせんといかんやつです。
- SNSや広告に過剰な投資をする:SNSの投稿や広告出稿に多くの時間や予算を割いているにもかかわらず、肝心の顧客理解や商品価値の訴求が不十分なため、期待した効果が得られない。
- ホームページが形骸化している:企業の顔ともいえるホームページが、ただ情報を羅列しただけの状態になっており、顧客にとって役立つ情報が提供されていない。
- リアルな顧客接点を見失う:オンラインの施策に集中しすぎるあまり、地元のイベントや対面での交流といった、地域ならではの強みを活かしたマーケティングが疎かになってしまう。
これらの失敗は、「流行っているからやる」「とりあえず何か始める」といった短絡的な判断が原因であることが多いのではないでしょうか。マーケティングの基本である「誰に、何を、どう届けるか」という本質的な部分を見失うと、時間やリソースを浪費するだけでなく、企業としての信頼を損なう可能性もあります。私は兎にも角にもこのような現実を直面してきて「素敵な企業、サービスなのになんてもったいないことをしているんだろう」という施策に対しての気持ちが日に日に強くなっています。
課題を乗り越えるためには?
先述した中小企業が直面している課題には、「リソース不足」や「優先順位の誤り」など、どれも重要なものばかりです。しかし、これらの課題を克服するための共通点は明確なのです。それは「闇雲に取り組むのではなく、戦略を持って進める」ということ。
特に中小企業の場合、限られたリソースを最大限に活かすために、以下の3つのポイントを押さえることが鍵になります。
地方ならではの強みを理解し、活かす
地方の中小企業が成功するためには、都会の企業と同じ手法を真似るだけでは十分ではありません。地方には、地方ならではの特性や強みがあります。それをしっかりと理解し、活用することで、他社との差別化を図ることができます。
例えば、地域密着型のマーケティングは、地方の企業が最も得意とする分野ではないでしょうか。地元イベントへの参加、口コミを活かしたPR、地域の特産品や文化を組み込んだコンテンツなど、都会にはない「地域性」を武器にしましょう。
リソースの最適化を図る
リソースが限られている中小企業では、効率的な活用が何より重要です。最初から全てを完璧にやろうとするのではなく、「小さく始める」という視点を持つことがポイントです。
たとえば、
- SNS運用:複数のSNSを手広く展開するのではなく、自社のターゲットが最も利用しているプラットフォームに絞り込む。なんでもやるのではなく、1点に注力することこそが勝ち筋です。
- 広告運用:全方位的な広告出稿を避け、顧客層が多い地域や特定のニーズに絞って運用する。
- ウェブサイトの改善:ホームページ全体の大幅リニューアルを目指すよりも、まずは効果が測定しやすいランディングページ(LP)の作成に注力する。
このように、初期段階では「少ない施策で効果を出すこと」に集中し、成功事例を積み重ねることが重要です。これが地方ならではのマーケティングの土台にある考え方であるべきだと私は思っています。
優先順位を明確にする
中小企業が成果を出すには、闇雲に手を広げるのではなく、「顧客理解」や「商品価値の訴求」を最優先に考える必要があります。これらを軸に施策を進めることでマーケティングの方向性がブレにくくなり、結果的に効率的な運用が可能になります。
そもそも、常に意識することは2つしかありません。
- 顧客は誰か?:年齢、性別、職業、興味関心など、具体的なペルソナを設定する。
- 顧客は何を求めているのか?:自社の商品やサービスが解決できる課題や、顧客が感じる価値を深掘りする。
このような顧客起点のアプローチがあれば、広告やSNSの内容も自然と的確なものになり、成果が出やすくなります。どんな業態であれ、マーケティングの成功に向けた答えは常にお客様がもっていると私は信じています。
中小企業が取るべきマーケティングの本質
これまでに挙げた課題やポイントを踏まえ、中小企業が目指すべきマーケティングの本質をさらに具体的にお伝えします。重複することもありますがそれだけ大切であり、ここで本当に大切なのは、「小手先のテクニックに頼るのではなく、顧客のニーズに真摯に向き合う」ことです。
「顧客理解を起点としたアプローチ」
顧客のニーズを理解し、そのニーズに応える形でマーケティングを構築することが、何よりも重要です。
たとえば、
- 自社の商品やサービスが「どのような価値」を顧客に提供しているかを明確化する。
- 「シンプルで分かりやすいメッセージ」を作る。
このような顧客理解に基づいたアプローチを行うことで、広告やコンテンツの方向性が明確になり、リソースの無駄遣いを防ぐことができます。
「小さく始めるマーケティング戦略」
マーケティングは、何も全てを一度に始める必要はありません。むしろ、小さな施策を試しながら改善を重ねる方が中小企業にとっては効率的です。
具体的に言うと、
- SNSに集中:Facebook、Instagram、TikTokなど、どのプラットフォームが自社に適しているかを見極め、まずは1つに注力する。
- ランディングページの作成:商品やサービスの魅力を効果的に伝えるための専用ページを作り、少額の広告を使ってテストする。
- 地域性を活かす:地方企業の最大の強みは、地域に根ざしたビジネスモデルです。この特性を活かさない手はありません。地元のイベントやフェアに参加して、直接的な顧客接点を増やす。地域特有の文化や価値観をコンテンツやPRに反映させる。
など、口コミやローカルネットワークを活用したマーケティングは、都会よりも地方の方が大きな効果を発揮します。地域性を意識するだけで、広告費用を抑えつつ高いリターンを得られることもあります。
「顧客理解を起点としたアプローチ」、「小さく始めるマーケティング戦略」の2つは中小企業において絶対に忘れてはいけないこと。常にイシューにおいて企画から考えるべきだと断言できます。
実際に効果を上げた事例を紹介
ここからは、実際にマーケティング施策が成功した具体的な事例を3つ紹介します。これらは、限られたリソースを活かしながら、戦略的に進めたことで大きな成果を得た事例です。中小企業でも再現可能な内容なので、ぜひ参考にしてみてください。
事例1:SNS運用の再構築で売上アップ
福岡県内でもより田舎に根ざす小売業者様は、当時複数のSNSプラットフォームで無理に毎日投稿を行い、反応の薄い投稿が続いていました。そこで私たちは、市場調査の結果から以下のようにSNS戦略を再構築しました。
- 分析:ターゲット層の利用プラットフォームを調査したところ、Instagramの利用率が高いことが判明。
- 集中化:FacebookやTwitterの投稿を停止し、Instagramに注力。
- コンテンツの質向上:商品の特徴や地域性をアピールした、ビジュアル重視の投稿に変更。
結果として、フォロワー数が増加し、イベント情報の投稿から来店者が前年比で30%増加する成果を上げました。ものすごくシンプルですが、第三者目線だから気付けたと思っています。
事例2:地域イベントを活用した顧客獲得
とあるサービス業の企業様は、新規顧客を獲得するためにオンライン広告を中心に活動していましたが、競合が多く費用対効果が低迷していました。「オンラインでのコンバージョン」を意識しすぎたあまりに集客の本質を見失っていたのです。そこで私たちは、完全オフラインの地域密着型イベントへの参加を提案しました。
- 戦略:地元のお祭りとマルシェに出店し、サービス「体験」を提供。
- PR活動:イベント参加前に地域のSNSとチラシで情報を拡散。
- 効果測定:イベント後に参加者へアンケートを実施し、次の施策に活用。
イベントを通じて新規顧客の80%以上が地元在住者であることが判明したのですがオフラインでもこのようにアンケートでデータをとると答えが見えてきます。
結果的に継続的な顧客関係を構築し、収益の安定化に繋がりました。
事例3:広告運用の効果改善
九州に複数ある製造業者様はFacebook広告を活用していましたが、ターゲティングが広すぎて、リード獲得単価が高くなっていました。そこで以下のように改善の提案をしました。
- ターゲティングの絞り込み:購入履歴がある特定の地域と年齢層に絞り込み。
- クリエイティブの改善:動画広告を使用して、製品の使用方法を視覚的に訴求。
- 予算配分の最適化:低効果のキャンペーンを停止し、高成果のキャンペーンに集中投資。
結果として、リード獲得単価が50%以上削減され、広告費を抑えながら売上を20%増加させることに成功しました。このケースは「広告運用の戦術が間違えていた」だけです。厳しい言い方ですが、パートナー選びのミスでしかありません。
中小企業が今すぐできるアクションプラン
簡単ではございますが事例を踏まえお伝えしたところで、少しでも学びになっていれば幸いです。ただ、今日から取り組んでほしいというのが本音です。少しずつ取り組むことで、課題解決の第一歩を踏み出せるはずです。
アクション1:顧客ペルソナを明確にする
マーケティングのすべての出発点は「顧客を知ること」です。ペルソナ(顧客の具体的なモデル)を設定することで、施策の方向性がクリアになります。
- 方法:アンケート調査や既存顧客のデータをもとに、年齢、性別、趣味、価値観などをリストアップ。
- ツール:無料のテンプレートを使ってペルソナ作成を簡単に進める。
アクション2:小さな成功体験を積む
マーケティングでいきなり大きな成果を狙うのではなく、手の届く範囲からスタートすることが重要です。
- 月に1回の効果測定:SNSや広告のデータをもとに、小さな成功を振り返り、改善を重ねる。
- 実践例:特定の投稿が高いエンゲージメントを得た場合、その投稿の要素(画像、言葉遣いなど)を次回以降に活かす。
アクション3:外部パートナーを活用する
中小企業にとって、すべてを自社内で完結させるのは難しいことが多いです。外部パートナーの力を借りることも選択肢の一つです。その一つとして是非WorldSceneにもお気軽にご相談ください。
マーケティングは「継続」と「適応」が鍵
中小企業にとってマーケティングの成功は、短期的な施策ではなく、継続的な努力と柔軟な適応によって実現します。時代や環境が変化する中で、戦略を見直しながら進むことが重要です。
色々とお伝えした上で最後にお伝えしたいことは、マーケティングとは一度きりの施策ではないということ。変化する時代に合わせて、継続的に適応していくことが成功への鍵です。
この記事を読んでいただいた今、まずは自社のマーケティングの現状を見直し、一歩を踏み出してみてください。中小企業だからこそ可能なマーケティングの本質を実践し、確実な成果に繋げていただければ何よりです。
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