コラム

正しい戦略だけでは人は動かない。福岡の中小企業で実感した「想いをのせるマーケティング」

  • 公開日: 2025.11.2
  • 更新日: 2025.11.2
あらたけけいし

Keishi ARATAKE

あらたけけいし

こんにちは。株式会社World Scene代表の荒武(あらたけ)です。
私たちは福岡市を拠点に、地元中小企業の集客やブランディング支援を行っています。

集客やWEB戦略など、日々お客様の抱える課題に対して「戦略」を考えることで、丸一日終わる日もあるのが弊社の仕事ですが、ある時期から自分自身の中に「少し違和感」がありました。

戦略の精度を上げれば上げるほど、どこか「温度の低い提案」になっていたんです。

打ち合わせでロジックを並べ、資料は整っているのに相手の表情が動かない。

そんな日々の中で、ある飲食店の経営者の方に言われたひと言が、私の考え方を大きく変えるきっかけになりました。

「他の会社さんも、課題は同じことを言う。でも、ホンネが知りたい。納得できるものがほしい。」

この言葉を聞いた瞬間、「自分は正しい提案ばかりしていたかもしれない」と気づきました。

準備はしていた。でも、その準備の中に「この人を喜ばせたい」「ワクワクさせたい」という気持ちがあったか?

改めて考えると、数字と理屈ばかりを磨いていた時期だったと思います。

戦略ファーストが招く「正しすぎる提案」

私たちのような制作・戦略会社は、「失敗しない」ことをとても大事にします。

経験のあるベテランほどそうじゃないでしょうか。

なぜなら、クライアントの時間もお金も限られているからです。

だからこそ、セオリー通りの提案、再現性の高い戦略を選びがちです。

けれど、正しすぎる提案ほど、人の心を動かさないことがあります。

お客様は「間違いのない答え」よりも、自分たちの志や想いを理解した上で導いてくれる人を求めているからです。

つまり、これからの時代に必要なのは「正しい戦略」ではなく、想いをのせた戦略です。

転機になった飲食店の相談

そのお客様は飲食業を営む経営者でした。集客が伸びず、いろんな提案を受けては試してきたけれど、結果が続かずに疲弊している状態。

私はこれまで通り、丁寧に提案をしました。市場データ、ターゲット分析、媒体選定、リピート導線など、どれも正確で再現性のあるプラン。

ただ、そのときの自分はワクワクしていなかったんです。

「ホンネが知りたい」。

あの言葉の意味は、「あなたは、うちをどうしたいの?」だったのかもしれません。

私は、提案の前にまず「この人を喜ばせたい」という気持ちを持っていたか?資料の中に、その人の志が反映されていたか?

そう考えたとき、胸が痛かったです。

「志」を中心にした戦略設計へ

その経験をきっかけに、私たちの仕事の進め方は変わりました。

まず「志を言葉にする」ところから始めるようになったんです。

その会社の理念やビジョンはなんなのかということはもちろん、代表メッセージにある本音はどこなのか?など、志を軸に導線設計やデザイン、コンテンツの方向性を決めていく。

これを「志ファースト」と呼んでいます。

戦略は、志を実現するための脚本であり、デザインや仕組みはその脚本を演じる舞台です。

この発想をもとにつくったのが、現在のOHIZAMOTOプランというサービスです。

OHIZAMOTOプランに込めた考え方

OHIZAMOTOプランは、企業の「脚本」を一緒に描き、「演出」と「仕組み」を一貫して支えるサービスです。

一般的な広告代理店は発信に特化し、システム会社は仕組みに特化します。

でも私たちは、そこを分けない。全部に熱を通す。

なぜなら、戦略と想いのどちらか一方が欠けると、成果が続かないからです。

戦略は正しくあるべき。でも「正しい」がセオリーになってはいけない。

想いをのせた戦略こそが、福岡やローカル企業に必要な考え方だと思っています。

失敗は、資産になる

私は最近、「失敗はいい、後悔はダメ」という言葉をよく使います。

挑戦してズレたなら、それは学びです。

でも、安全運転で挑戦しなかった提案は、会社にも地域にも何も残らない。

福岡の企業は、どこも誠実で、まっすぐな経営者がたくさん。

だからこそ、誠実に挑戦する会社が一番強いと思っています。

私たちはこれからも、「戦略に想いをのせる」仕事を続けていきます。

そして、人の心を動かすデザインや発信を、福岡から発信していきたい。

最後は、心です。

心があるかないかで、成果は変わります。

福岡の企業が、自分たちの志をまっすぐ伝えて、地元から誇れる仕事を増やしていく。

その物語を、私たちはこれからも一緒に描いていきます。

この記事を書いた人

あらたけけいし

株式会社World Scene 代表

あらたけけいしKeishi ARATAKE

福岡市を拠点に、中小企業のブランディング・マーケティング支援を行うデザイン会社 株式会社World Sceneを経営。広告業界での経験を経て独立し、「広告に頼らず成果を出す仕組みづくり」をテーマに、工務店・飲食店・美容室・食品製造業など幅広い業種の経営者を伴走型で支援しています。 強みは、経営者の想いを言語化し、戦略とデザインに落とし込むこと。SEOやSNSを活用した集客導線の設計、採用ブランディング、Webサイトやパンフレット制作までを一気通貫でサポート。福岡・九州の企業が「選ばれる理由」をつくり、継続的な成果につなげることを使命としています。 趣味はお酒。経営課題を考える時間と同じくらい、晩酌の研究にも余念がありません。

この記事をシェアする

  • Instagram
  • facebook
  • linkedin

Popular articlesよく読まれている記事

コラム一覧

コラム一覧

ページ先頭へ