コラム

中小企業のブランディング戦略 ― 失敗しないための3つの原則【事例あり】

  • 公開日: 2025.11.5
  • 更新日: 2025.11.28
あらたけけいし

Keishi ARATAKE

あらたけけいし

こんにちは。株式会社World Scene代表の荒武です。
私たちは福岡を拠点に、中小企業のブランディングやマーケティング、Web制作、広告戦略などを支援しています。

弊社は創業から5年ほど経ち、以前よりブランディングという言葉はローカルでも身近になったような気がしています。

ブランディングに限った話ではなく、
マーケティング、DX、生成AIなど、

  • 取り組んでいる
  • 取り組んではいないけど興味はある
  • 学んでいきたい

といった需要は日に日に増えているのは間違いないと感じます。

その反面、実際に中小企業が取り組んでみると

「ロゴをつくって終わった」
「結局、何も変わらなかった」
「思うような成果を得られなかった」

という声は少なくありません。

「そもそもブランディングとは、なんなのか?」
これを正しく理解するところからこの記事ではお伝えしていければと思います。

ブランディングとは?

AIの模範解答だと、
「ブランディングとは、企業や商品、サービスが持つ独自の価値を顧客や社会に認識してもらい、競合との差別化を図るための戦略的な取り組み」とのこと。

全く間違えていないしその通りですが、
たくさんブランディングの現場を任せていただいた私の考えはすごくシンプルで、
「ブランディングとは、心を形にすることだと考えています。

「うちは何を大切にしている会社なのか」
「誰のために、なぜこの仕事をしているのか」
それを言葉やデザイン、行動に置き換えていくことがブランディングの本質です。

多くの企業が勘違いしてしまうのは、ブランディングを装飾だと思っていること。
たしかにロゴやWebサイト、パンフレットなど「目に見えるもの」も大切です。

けれど、それらはすべて心を伝えるためのツールでしかありません。
心が定まらないまま形を整えても、どこか違和感が残ります。

逆に、想いが明確であれば、形は自然と整っていく。
だからブランディングの出発点は「形」ではなく、「心」なんです。
そして、その「心」を「利益」につなげていくのがマーケティングです。

ブランディングとマーケティングは、よく対立して語られますが、本来は切り離せないもの。
ブランドが「志の設計」だとすれば、マーケティングは「現実化の仕組み」です。
志を形にし、それを社会に届け、共感と売上に変えていく。
その一連の流れを設計できてはじめて、ブランドは企業の中で生き始めます。

つまり、
「ブランディングは心を形にすること。」
「マーケティングは心を利益にすること。」

どちらか一方では機能しません。

「形」と「利益」、そのどちらにも心が通っている状態こそ、
企業の本当の強さだと考えています。

どうしてもブランディングとかマーケターとか、
カタカナでカッコいいものみたいなイメージになりがちなんですよね。

綺麗事やお世辞を抜きにはっきり言ってしまうと、
中小企業もしかり、企業の大小に関わらずブランディングやマーケティングをすることはもはや企業成長において当たり前なのです。そして、全然カッコいいものでも特別なものでもなんでもないのです。

なぜ中小企業のブランディングはうまくいかないのか

ブランディングという言葉が広まり、取り組む企業は確実に増えました。
けれど、実際に成果を出せている会社はまだ多くありません。

その理由をひとことで言うなら、
「順番」を間違えているからだと考えています。

先述したように中小企業の現場では、ブランディング戦略が「デザイン刷新」や「SNSの運用強化」と同じレイヤーで語られることが多い。

けれど、本来のブランディングはそれらを支える脚本のような存在です。脚本がないまま演出をしても、観客には何が伝わるのか分からない。

経営もそれと同じでしかないのです。

うまくいかない企業には、いくつかの共通点があります。

① 手段から始めている

ホームページを作る、ロゴを変える、SNSを始める。
どれも大切な活動ですが、それ自体がブランディングではありません。

まず「どんな会社として認識されたいのか」を明確にしないまま動くと、形だけが先に走り、想いが置き去りになります。

② 短期的な成果を求めてしまう

これが一番多いのでは?と思っていますが、
そもそもブランディングは、広告のようにすぐに数字で成果が出るものではありません。

短期の反応を追いすぎると、「本当に伝えたいこと」よりも「受けのいいこと」を優先してしまう。その結果、表面的な発信になり、共感ではなく消費される情報になってしまいます。
逆効果ってやつです。

③ 発信の仕組みがない

営業部、総務部などとは違って、ブランディング部、マーケティング部といった部署は中小企業ではどうしても「組織」として機能させる余裕がなく、部署がないのは当然のことです。
ただ、部署がないことが問題ではなく仕組みがないことが問題です。

ブランディングしてその後のアクションがない。
マーケティングの施策を継続できない。
というのがほとんどではないでしょうか。
はりきって始めたSNS、数年たった今も続いてる、なんて方が珍しいですから。

ホームページ、SNS、パンフレットなど、媒体は違っても、言葉のトーンや方向性が統一されていることが大切。
一貫したメッセージが積み重なって、はじめてブランドとして認識されます。

④ 経営者の言葉が抜けている

中小企業のブランディングで何より大切なのは、経営者自身の言葉です。
もはや経営者の心を形にするのがブランディングと言っても過言ではありません。

理念やビジョンを立派に飾るよりも、
日常の中で何を感じ、何を大事にしているか。
その生の言葉が社員を動かし、顧客の共感を生みます。

それなのに、上っ面の心がない言葉を並べてしまうと当然ブランディングは失敗します。

大切なことなので何度も言いますが、カッコいいものではないのです。

経営者の言葉が空気のように流れている会社ほど、ブランドは強く、長く続いていきます。

これらからうまくいかない理由を突き詰めると、どれも「心を形にする」という原点を忘れていることに行き着きます。

つまり、形を整える前に、自分たちの心を整えることが先なのです。

中小企業がブランディングで成果を出すための3つの原則

大体、ブランディングは当たり前にするものという文化がありませんから
いつやるの?とか、そういったことで悩まれることもあるかもしれません。

答えは、「思い立ったらすぐ」。
でしかないのですが、自社だけでできるものでもないんです。

だから私たちのような専門家がいるわけですが、明確にタイミングというのもあるのかもしれません。

  • 集客が上手くいっていない
  • 採用が上手くいっていない
  • 生産性が低い、改善したい
  • 社員がすぐ辞める、やりがいがないと思われる
  • なにか新しい事業に取り組む

このあたりがブランディングの入りとして多いのかなという印象です。

ここからは、私たちWorld Sceneが福岡の企業支援を通して実感してきた、ブランディングで成果を出すための3つの原則を紹介します。

① 戦略から始める(目的を決める)

「何を伝えるか」よりも先に、「なぜ伝えるのか」を決める。

ブランディングを始めるとき、
多くの企業は手段の検討から入るから上手くいかないのです。

「誰にどう見られたいか」よりも、
「どんな想いを、なぜ形にしたいのか」。

この目的の明確さが、後のすべての判断軸になります。

戦略とは、かっこいい言葉を作ることではありません。
どんな未来を目指して、誰と歩むかを決めること。

それが曖昧なままでは、どんな施策も迷子になります。

② ストーリーで伝える(心を言葉にする)

人は「情報」では動きません。
数字や機能だけでは、心に残らない。

「なぜこの仕事をしているのか」
「どんな瞬間に誇りを感じるのか」
など、その生きた言葉にこそ、共感が生まれます。

会社のストーリーとは、社長の想いを言葉にし、
それを社員と共有することから始まります。

社内での共通言語が整えば、発信のトーンは自然と揃う。
そして、その一貫した言葉が、ブランドの信頼をつくっていきます。

③ 仕組みで続ける(発信を止めない)

ブランディングは、一度つくって終わりではありません。
発信を継続する仕組みがなければ、想いも形も風化します。

たとえば、SNS投稿やコラム更新を「誰かの熱意」に頼るのではなく、仕組みとして運用できる形に落とし込む。

発信が続く会社は、理念ではなく日常の中でブランドを育てている会社です。

継続することは地味に見えますが、ブランドづくりにおいて最も強い戦略です。
続ける=信頼を積み上げることだからです。

3つの原則をまとめると、こうなります。

  1. 戦略から始める(目的)
  2. ストーリーで伝える(言葉)
  3. 仕組みで続ける(継続)

こうみると「なんだ、簡単じゃん」と思うかもしれませんが、
この3つが一貫して存在する企業は、驚くほど少ないんです。
そんな会社に出会う方が珍しいくらい。

そもそも、日常業務に皆さんは追われているんです。忙しいんです。
そしてなにか新しいことを続けるということに心のどこかで抵抗があるからこそ続かないのです。

だからこそ、ここを整えるだけで、企業の伝わり方は劇的に変わります。

要は、「選ばれる会社」になります。
そうすることで集客も採用も、うまく回り始めるんです。

そのためにブランディングすることは当たり前にしたい。
本気でそう思っています。

事例紹介

私たちがブランディング支援をさせていただいた株式会社リフォーム三光サービス様では、「服を直す会社」から「想いを繕うブランド」を開発するプロジェクトを行いました。

▼詳しくはこちら

ブランディングは、新しいものをつくる作業ではなく、
もともと企業の中にある想いのかたちを取り戻すプロセスだと改めて感じさせられた事例です。

ブランディングは、心を整える経営。

ブランディングは、特別な会社だけのものではありません。
そして、いつかやることでもありません。

いま目の前の課題、集客、採用、社員のやりがい、事業の方向性。
そのどれもが「心を整える」ことで驚くほど動き出します。

もう一度お伝えすると、
ブランディングとは、ロゴやデザインの話ではなく、心そのもの
経営者自身の想いを、社会に伝わる形にすること。

言い換えれば、企業の中にある「志」をもう一度見つめ直す時間です。

やるか、やらないか。
迷う時間こそが、ブランディングを必要としているサインかもしれません。

悩む前に、お気軽にご相談ください。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

私たちWorld Sceneは、福岡を拠点に中小企業の志を軸にした発信と仕組みづくりを支援しています。

経営者が頭の中に抱える想いを整理し、
戦略・デザイン・発信の一貫した流れを設計することで、
「選ばれる会社」へと育てていくお手伝いをしています。

\ まずは、頭の中を整理する90分。 /
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この記事を書いた人

あらたけけいし

株式会社World Scene 代表

あらたけけいしKeishi ARATAKE

福岡市を拠点に、中小企業のブランディング・マーケティング支援を行うデザイン会社 株式会社World Sceneを経営。広告業界での経験を経て独立し、「広告に頼らず成果を出す仕組みづくり」をテーマに、工務店・飲食店・美容室・食品製造業など幅広い業種の経営者を伴走型で支援しています。 強みは、経営者の想いを言語化し、戦略とデザインに落とし込むこと。SEOやSNSを活用した集客導線の設計、採用ブランディング、Webサイトやパンフレット制作までを一気通貫でサポート。福岡・九州の企業が「選ばれる理由」をつくり、継続的な成果につなげることを使命としています。 趣味はお酒。経営課題を考える時間と同じくらい、晩酌の研究にも余念がありません。

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