中小企業が「もったいない経営」から抜け出す3つの戦略
こんにちは。株式会社World Sceneのあらたけです。
福岡でブランディングやマーケティングの伴走をしていると、「うちは商品も技術も悪くないはずなのに、数字に跳ね返らない」という相談にとにかく出会います。
毎日まじめにやってる。人柄も信用もある。なのに成果がついてこない。
私はこれを「もったいない経営」と呼んでいます。
少しだけ昔話をさせてください。
僕は広告業界出身で、雑誌・WEB・求人……いろんな広告を売ってきました。
表彰も山ほどいただきましたが、胸を張れない瞬間もあった。「御社にぴったりです!」と心からすすめられない商材を売ってしまったことがあるんです。
数字は動きます。広告を打てば人は来ます。でも、やめた瞬間にゼロに戻る。
あの徒労感は、広告に携わる人間として、そして経営者として忘れられません。
だから今は、目先の数字より“売れ続ける理由”をつくることに人生を振り切っています。
今日は、福岡の現場で磨いてきた 「もったいない経営から抜け出す3つの戦略」 を、泥臭い実例と一緒にお伝えします。AIっぽい机上論じゃなく、地に足のついたやり方でいきます。
まず、「もったいない経営」の正体
症状はシンプルです。
- 誰に届けるかが曖昧(みんなのお客様=誰のものでもない)
- 「なぜ選ばれるか」が言語化できていない(良いこと言ってるのに刺さらない)
- 入口(SNS・SEO・広告)ばかり増やして、出口(問い合わせ・来店・応募)までの導線がない
- 単発の盛り上がりで疲弊し、資産が積み上がらない
これをひっくり返す3つが、絞る/言語化する/導線化する です。
戦略1|誰に届けるかを、勇気を持って絞る
「うちは幅広いお客様に対応できます」この一言が、集客を弱くします。
中小企業の強さは誰かの一番になれること。万人の二番を狙うと、広告費で殴り合う土俵に引きずり込まれます。
さらによくあるのが求人。「うちはアットホームです!」という打ち出し。
わかりますよ、実際アットホームなのはわかってます。でも、アットホームというのは捉え方によっては「すでにコミュニティができている状態」とも言えます。
飲食店でオープニングの方が人気な理由はまだ人間関係のコミュニティができあがってないから。
これが全てだと思います。このことを知っているか知らないかとでは、どんなマーケティング施策においても結果に雲泥の差が生まれます。
3つの絞り込み質問
- 一番喜ばせやすいのは誰か?(距離・価格帯・価値観で見極める)
- なぜその人は今まで買わなかったのか?(不安・面倒・比較疲れ)
- その不安を10秒で溶かす証拠は何か?(事例・数値・写真・第三者の声)
現場で効いたやり方
- ペルソナではなく“指名客像”をつくる。「うちに指名で問い合わせてくる人」を具体化。実在の顧客1〜2名をモデルにして言葉を合わせる。
- ネガティブペルソナも決める。 価格だけで比較する層/急ぎの大量発注層など、“合わない相手”を先に除外する。ここで勇気が試されます。
事例(工務店)
「誰でも歓迎」から「小さなリノベ×職人品質」に絞り、施工事例の見せ方を住まい・悩み別に再編。
広告を薄くしても、指名相談が増え、現場のストレスも減りました。
戦略2|“選ばれる理由”を言語化して、証拠で固める
良いことを“言っている”会社はたくさん。良いことを“言い切れる”会社は少ない。
言い切るには、現場の温度と第三者の証拠が必要です。ここでAIとの差が出ます。
4つの言語化パーツ
- タグライン
10秒で伝わる旗印(例:「共働き家庭の15分を増やす惣菜」) - コアストーリー
なぜやるのか(原体験・地域との約束) - 差別化要素
工程・基準・人の目。競合の“言いにくい弱点”に触れる - 証拠
ビフォーアフター、数値、第三者の声、資格・受賞、制作裏側
ありがちな“当たり前の言い換え”を卒業する
- 「品質に自信があります」→ 何の品質を、どの工程で、どう担保?
- 「お客様に寄り添います」→ 月1回の定期点検/チャット24時間以内返信
- 「デザインに強い」→ 採用LPの応募率○%改善/EC回遊率△%向上 の実績に置換
事例(食品製造)
「安全・安心・国産」だけでは埋もれる。
“温度×秒数×pH”の管理ログを公開し、再現性を売りに。
ECで料理の失敗確率を減らす食材として訴求したら、価格競争から抜けました。
事例(美容室)
インスタ映えを封印。
離職理由の不安(人間関係・教育・給与の透明性)に回答する採用LPへ。
教育カリキュラムの見える化と先輩の1日のタイムラインを掲載し、応募の質が上がりました。
戦略3|入口と出口を“線”でつなぎ、資産化する導線設計
入口(SNS・SEO・紹介)を増やす前に、出口(問い合わせ・来店・応募)の設計が先。
さらに、一度作ったコンテンツが働き続ける状態=資産化までをセットで考えます。
基本の導線
認知(SEO記事/SNS)
→ 信頼(事例・インタビュー・比較表)
→ 行動(相談・来店・応募フォーム)
→ 継続(LINE/メルマガで再来店・紹介)
3つの運用ルール
- 1テーマ=1導線
記事の最後は必ず“次の一歩”に連れていく(例:事例集DL→相談日程) - 更新は“現場から”拾う
職人・店舗・工場から週1枚でいい。写真と一言を集め、編集で記事化 - 指標は“線の通過率”で見る
PVより資料DL率/予約率/応募完了率。どこで落ちるかを特定
事例(飲食)
Instagram→LINE公式→“次回来店の理由”(限定メニュー・席予約)を用意。
リピーター比率が上がると、広告が要らなくなる。
当たり前だけど、これが一番強い。
よくある声への回答
Q. 人も時間もない。
A. 週1回、60分の“現場ヒアリング”を固定。録音→文字起こし→編集で記事化。
現場の言葉は最強の素材です。
Q. ネタが尽きる。
A. 「事例(Before→After)」「よくある質問」「失敗談」「裏側の工程」だけで四本柱。
毎月ローテすれば永遠に回せます。
Q. SNSが続かない。
A. “企画→撮影→編集→投稿”を同日にまとめ撮り。月1回2時間で翌月分を確保。運用は仕組みの勝ち。
今日から動くための“7ステップ”
- 指名客像を1人、紙に書く。
- その人の不安を3つ書く。
- それを10秒で溶かす証拠を3つ集める(写真・数値・第三者の声)。
- タグラインを1本つくる(言い切る)。
- トップ導線を1本だけ設計(記事→事例→相談)。
- 週1回の現場ヒアリングをカレンダー固定。
- 指標はDL率/予約率/応募完了率で見る。PVは二の次。
まとめ|“やり切れる戦略”が、結局いちばん強い
もったいない経営は、才能の問題じゃない。
絞る→言語化→導線化という順番を崩さず、地道に積み上げる“やり切れる戦略”に変えるだけです。
福岡の中小企業は、派手さより誠実さで選ばれます。広告に振り回されず、売れ続ける理由を一緒につくっていきましょう。
図解で一気に腹落ちさせたい方へ
この記事は考え方の全体像をお伝えしましたが、弊社がまとめたホワイトペーパー
『地元企業の“もったいない経営”をなくす戦略書』 は無料でダウンロードできます。
記事よりもわかりやすく、実例をもとにまとめることでマーケティングの現場で意思統一できる内容にしています。小手先の技術ではなく、考え方からまずは学びになってくれたら嬉しいです。
ここまで読んでくれたあなたは、もう“もったいない側”から抜ける準備ができています。
あとは、やるだけ。福岡・九州から、ちゃんと勝てる会社を増やしていきましょう。
そのためのお手伝いをさせてください!
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